「実家をきれいにしたいけれど、親に反対されていてどう進めればいいのだろう?」と、親の家を片付けるかどうかで悩む人は少なくありません。
しかし、整理整頓されていない部屋はケガや病気の原因にもなりかねないため、親の家は早めに片付けるべきです。しかし、無闇に片付けてしまうと親とのトラブルに発展しかねないため、慎重に進めることが大切です。
本記事では、親の家を片付けるべき理由やスムーズに進めるポイントについて解説します。片付けるときにやってはいけないことや、気になる料金についても説明するので、実家の片付けで悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
目次
親の家を片付けるべき3つの理由
親の家を片付けるべき理由は、3つあります。
- 事故のリスクを減らすため
- ストレスやトラブルを減らすため
- 相続をスムーズに進めるため
ひとつずつ見ていきましょう。
事故のリスクを減らすため
物がたくさんある家は、事故が起こりやすくなります。思いもよらないケガや病気を防ぐためにも、片付けが必要です。
例えば、物が乱雑に散らかっていると、つまずいて転倒してケガにつながります。高齢になると足元がおぼつかなくなったり、細かい字が見えなくなったりするため、あらゆる事故が起こりやすくなります。
家の中で安全に過ごしてもらうためにも、親の家が散らかっている場合は片付けを進めるべきだと言えるでしょう。
ストレスやトラブルを減らすため
散らかった部屋で過ごしていると、知らないうちにストレスを溜めてしまうため、早めに片付けるべきです。
例えば、必要な物を見つけられず、毎日探すことに時間を取られてしまうことが挙げられます。何度も買い求めることになりかねず、さらに物が増えて部屋が散らかってしまう悪循環になりかねません。
物が増えすぎると家からあふれてしまい、ご近所トラブルに発展するケースもあるくらいです。
整理整頓がされているだけで、必要な物をすぐに見つけられるだけでなく、近所の人ともうまく付き合っていけます。問題が大きくなる前に、片付けを始めるように促しましょう。
相続をスムーズに進めるため
親の家をかたづけておくことは、万が一のときにも役立ちます。家や財産などをスムーズに相続できるため、親が元気なうちに片付けておくとよいでしょう。
親の家が散らかったままだと、相続財産などがわかりづらく、相続に時間がかかってしまいます。また、相続に必要な書類や大切な物を探すことから始めなければならなくなるため、余計に時間がかかってしまいます。
生前に相続を意識した整理をおこなっておくと、亡くなった後の心配が少なくなるでしょう。両親の意向に沿った相続ができるため、お互いのために家を片付けておくことをおすすめします。
親の家を片付けるまでの手順4ステップ
親の家を片付けるまでの手順は、以下の4ステップに分けられます。
- 計画を立てる
- 仕分けをする
- 不要なものを処分する
- 清掃する
手順に沿っておこなうことでスムーズに片付けられるので、ぜひ参考にしてください。
計画を立てる
親の家の片付けは、家が広い、物が多すぎるなど、思ったようにうまくいかないものです。スムーズに進めるために、事前に計画をしっかり立てることが大切です。
家の広さや不用品の量、処分に手間がかかる大型家具などの数など、今ある物の把握を先におこなうことで、片付けがテンポよく進むようになります。
家族の役割分担や片付けに必要な日数、ごみの日などを事前に調べたうえで、具体的に予定を立てるのがポイントです。
仕分け
計画を立てたら1部屋ごとに「捨てる物」と「保管しておく物」に仕分けましょう。具体的なルールを決めておくと、仕分けがしやすくなります。
例えば、1年以内に使う予定のある物は残し、1年以上使わなかったものは捨てる、など生活の実態に合わせてルールを決めると効果的です。家庭によって必要な物や残しておきたい物は異なるため、親の意向を丁寧に聞き取ることが大切です。
処分するかどうかをすぐに決められない場合は、保留という選択肢を残しておくと整理が進みやすくなります。なにもかも処分するのではなく、生活状況や保管スペースなども考慮しながら丁寧に仕分けしていくとよいでしょう。
不要なものを処分する
仕分けで出た不要なものを、自治体のルールにしたがって処分します。市町村などのごみ回収を使えば処分費用を抑えやすくなりますが、回収日が決まっていたり当日しか搬出できなかったりするため、量が多いときは業者に依頼すると便利です。
とくに、短期間で片付けたい場合や大型の家具などが複数あり自力での搬出が難しい場合は、不用品回収業者などに依頼すると安全かつ最短で処分ができるでしょう。
不要な物でも、まだ使えそうで売値が付きそうな物があれば、リサイクルショップなどに買取に出すのもおすすめです。
清掃する
不要な物の処分が終われば残しておくものを整理しながら元に戻し、その後掃除をしましょう。
掃除をすることで、片付け中に出たほこりなどを一掃できるだけでなく、終了後の美しい状態を保とうというきっかけになります。
長期間清掃ができていない場合や、自分たちで掃除する時間が取れない場合は、ハウスクリーニングなどを頼むと手間なくきれいになるでしょう。
親の家の片付けをスムーズに進めるポイント6つ
親の家の片付けをスムーズに進めるポイントは、以下の6つです。
- 自分の部屋・物から片付ける
- 片付けの前に話し合いをおこなう
- 1部屋ずつ進める
- 余裕を持って進める
- 業者を活用する
- できるだけ早い時期に始める
順番に見ていきましょう。
自分の部屋・物から片付ける
実家に自分の部屋がある場合や荷物などを残している場合は、まずそこから片付けましょう。自分が不要な物を片付けることで、ついでに整理整頓や処分するという提案ができ、スムーズに片付けの話ができるからです。
ごみの分別方法や収集日などを事前に親と一緒に確認することで、片付けへの意識も生まれます。
実家に置いてある荷物などが片付くことで家の中にスペースができ、処分するものや保留にしておくものを置いておく場所を確保できます。家全体の片付けをスムーズに進めるためにも、まずは処分しやすい自分の部屋や物から片付けてみてください。
片付けの前に話し合いをおこなう
片付けに取りかかる前に、親の立場に立ってどう部屋を片付けるべきか話し合いましょう。親の生活を見直しながら具体的な困りごとに対して対応する形で進めていくと、反発されにくくなります。
例えば、日常生活で困っていることや不便に感じていることがないか、使いづらい場所や気になっているところがないかなどを、丁寧に聞き取っていきます。家の中がより生活しやすくなるとイメージさせることで、片付けを好意的にとらえられるでしょう。
「あれもこれも不要だから捨てよう」と提案すると、ケンカになってしまうことがほとんどです。捨てるという決断を親自身がするようになると作業が進めやすくなるため、じっくり話し合いの時間を取ってみましょう。
1部屋ずつ進める
片付けをおこなうときは、1部屋ずつ進めるのがおすすめです。とくに納戸や洗面所など、狭い場所であれば短時間で済むため、体力のない高齢者でも取り組みやすいでしょう。
また、片付けの成果が確認しやすいのでやる気アップにもつながり、他の部屋の片付けも進めやすくなります。
余裕を持って進める
実家の片付けを自分たちでおこなう場合は、できるだけ余裕を持った日程を確保することが大切です。とくに、一軒家を家族だけで1〜数日程度で片付けるのは非常に困難です。手伝える人を増やしたり日程を延ばしたりしなければ、終わりません。
親がまだ住んでいる家の片付けをおこなう場合は、できるだけゆっくり時間をかけて片付けるとよいでしょう。その都度親との時間を持つことができ、実際の生活の様子なども見ながら進められるため、より生活しやすい状態にできます。
長年住んでいる家ほど、普段は目にしない物がたくさん収納されています。しかし、それらすべてに親の思い出などが詰まっているため、ゆっくり大切に扱って片付けていきましょう。
業者を活用する
捨てる物がたくさんある場合は、業者をうまく活用することも選択肢のひとつです。最初から業者を入れることに抵抗を感じる高齢者は、少なくありません。しかし、不用品のみを引き取ってもらうという形なら、了承を得られることがあります。
大きな家具や処分に手間がかかる物などは、不用品回収業者に処分してもらうと手間や時間を大幅に短縮できます。自治体で処分するよりも費用はかかりますが、短時間できれいにできるので、ぜひ検討してみてください。
できるだけ早い時期に始める
親の家の片付けは、できるだけ早めにとりかかりましょう。放置するほど片付け自体が困難になり、時間も手間も倍以上かかってしまいます。
親が片付けられなくなってきたり、日常生活に不便を感じていそうだったりしたタイミングで、片付けを検討すべきです。しかし、親自身は片付けの必要性に気付いていないことがほとんどなので、親の精神状態や生活状況をよく見ながら片付けを進めるとよいでしょう。
親の家を片付ける時にやってはいけないこと4つ
親の家を片付けるときに、やってはいけないことは以下の4つです。
- 親の意向を無視する
- 勝手に業者を手配する
- 否定的な言葉を口にする
- 完璧を求める
作業がスムーズに進まなくなるだけでなく、親子関係が悪化したり実家と疎遠になってしまったりするパターンも少なくありません。ひとつずつ解説します。
親の意向を無視する
片付けをする前に、親の意向をしっかり聞くことが大切です。絶対に子ども主導で片付けを進めてはいけません。
何もかも捨ててしまうなど否定的に取られてしまい、片付けが進まないどころか片付け自体を拒否される理由になります。親のペースで片付けへの意向をしっかり確認しながら進めるようにし、とくに最初はゆっくり時間をかけて取り組んでみるとよいでしょう。
勝手に業者を手配する
散らかった家を短時間で片付けたいなら、業者に依頼する方法があります。しかし、勝手に不用品回収業者を手配してしまうと親の反発を受けやすくなり、片付けが頓挫してしまいかねません。
業者を頼む場合は、事前に親に相談してからにしましょう。費用や業者に依頼する必要性を丁寧に話すことで、たいていの場合は理解が得られます。業者が入ることに抵抗感がある場合は不用品を庭に出しておき、回収時は子が立ち会うなど、親が気になっているところを丁寧に聞き取りながら妥協点を探してみてください。
否定的な言葉を口にする
片付けをおこなうときは、できるだけ否定的な言葉を口にしないように気をつけましょう。「捨てる」「処分する」という言葉を繰り返していると、片付けが嫌になったり反発されたりすることが多くなります。言葉選びに気をつけるだけでスムーズに進められるので、意識してみてください。
例えば「捨てる?」とストレートに聞くのではなく「使う予定はある?」と聞く、「ここに○○が置いてあるとお母さんが使いにくそうだから△△に移動しない?」と提案するなどです。「使わない」「要らない」という言葉を親から引き出せたときだけ処分するようにすると、安心して作業を任せてくれるようになります。
捨てるかどうか迷っているときは、無理に決断を迫らず保留という選択肢を与えてあげると片付けやすくなるので、ぜひ試してみてください。
完璧を求める
片付けに対して完璧を求めるのは、できるだけ避けましょう。物がなくなりすぎることで逆に寂しさを感じてしまい、新しく買い集めてしまったり、完璧さに違和感を覚えて元に戻したくなったりするからです。
完璧ではなくても、不用品やごみがなくなるだけで安全に暮らせる家になります。どうしてもうまく進まない場合は、同意が取れた場所だけにする、安全面だけ意識して片付けるなど、場所や内容を限定して進めてみるとよいでしょう。
とくに、高齢者になると腕が上がらない、つまずきやすくなるなど生活面で支障をきたすケースが多々あります。高所の置き場所や災害時に避難経路となる場所に物を置くことを避けるなど、理由があれば片付けられることも多いので、試してみてください。
親の家を片付ける時の費用相場
親の家を片付けるときの費用相場は、自分でおこなうか業者に依頼するかで大きく異なります。それぞれの費用を確認しておきましょう。
自分でおこなう場合
自分でおこなう場合は、業者に依頼する場合よりも費用を抑えられることが最大のメリットです。自分でおこなう場合にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。
- ごみ袋代
- 自治体で処分するときの費用
- 整理のための収納用品など
ただし、ごみの収集日や回収してもらえる量に制限があるなど、自治体によっては手間がかかります。不用品の量や種類などによっては、自分でおこなったほうが労力や時間がかかってしまう場合もあるので、具体的にやることを洗い出してから決めるとよいでしょう。
業者に依頼する場合
ごみや不用品の量が多い場合や、時間や搬出できる車がないなど、自分で処分するのが難しい場合は業者に依頼するのがおすすめです。基本的に1日で片付けてもらえるので、遠方に住んでいるなど時間をかけて片付けができないときでも実家の片付けを進められます。
ただし、親に無断で依頼してしまうとトラブルになることもあるため、了承を得たうえで進めることが大切です。
業者に依頼した場合の費用相場は、家の広さやスタッフの人数・ごみの量などによって大きく変わります。具体的な費用相場は、以下のとおりです。
間取り | スタッフの人数 | 料金 |
---|---|---|
1K・1R | 1名〜 | 40,000円〜 |
1LDK | 1名〜 | 50,000円〜 |
2LDK | 2名〜 | 80,000円〜 |
3LDK | 3名〜 | 100,000円〜 |
4LDK以上 | 4名〜 | 250,000円〜 |
ごみの種類や利用するプラン、オプションの有無などによって金額が変わるので、事前に出張見積もりをしてもらうと利用しやすいでしょう。
親の家を片付ける方法まとめ
親の家が散らかっているのが気になる場合は、できるだけ早く片付けることが大切です。早期に取り組むことで、高齢になった両親が安全に暮らせるだけでなく、トラブルを未然に防げます。また、相続となった際にスムーズに進められる点も、早期に片付けをすることのメリットです。
しかし、慣れ親しんだ家を片付けることに抵抗感を抱き、反発されることも少なくありません。慎重に進めなければ親子関係が破綻してしまいかねないため、自分のペースではなく親の意向を確認しながら進めるのがベストです。
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