生前整理の方法を5ステップで解説!進めるうえで押さえるべきポイントも紹介
更新日2024.02.21

「生前整理の必要性を感じているものの、進め方がわからない」
「どの範囲まで整理すればいいのだろう?」

生前整理にあたってどのようにして、どの範囲で取り組めばいいのかわからないという方は、多いのではないでしょうか。

老後は施設に入居する方も多いので、時間や体力の余裕があるうちに身の回りの整理をおこないたいと考える人が増えています。実際に生前整理をおこなっておけば、いざ自分が亡くなった後も遺族がスムーズに遺品整理を進められます。

本記事では、生前整理の方法やスムーズに進めるポイントについて解説します。始め方についても手順を追って説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

生前整理とは?

生前整理とは?

生前整理とは終活のひとつで、時間や体力の余裕があるうちに、人生の終わりに向けて自分の身の回りの「物」や「財産」を整理することを指します。生前整理の目的は、自分が亡くなった後の遺族の負担を軽減し、大切な思い出の品や財産を確実に引き継いでもらうことです。

人生を重ねると大切な財産とともに、不要な物品も増えていきます。そこで、生前整理によって自分自身の過去を振り返り、これまで積み上げた不要な物を断捨離します。

身軽になることで、これからは充実した人生を送れるようになるでしょう。

自分の人生を整理し、死に際に「いい人生だった」と感じられるようにするための取り組みと言えます。

生前整理と似た用語の違いを解説

生前整理と混同しやすい用語として「遺品整理」と「終活」が挙げられます。どちらも生前整理と関連性の深い用語なので、違いを明確に理解しておきたいところです。

ここからは、生前整理と遺品整理および終活の意味の違いについて説明します。

遺品整理との違い

生前整理と遺品整理の違いは「誰が(本人または遺族)」「いつ(生前または死後)」故人の身の回りの整理をするかです。遺品整理とは、人が亡くなった後に遺族がおこなう整理活動のことです。

実施者 整理時期
生前整理 本人 生前
遺品整理 遺族 死後

故人が所有していた物を整理および処分し、大切な物を適切に管理します。故人の意思を尊重しつつ、遺族が新たな生活を始めるための重要なステップです。

終活との違い

終活とは、人生の終わりを見据えて準備する活動のことで、人生最期に向けた活動の総称です。つまり、生前整理は終活の一部と言えます。

現時点で人生の総括をおこない、最期まで自分らしく生きるための価値観を考える取り組みのことです。終活で取り組むことは、以下のとおりです。

  1. 身の回りの整理
  2. 財産の相続を円滑に進めるための手続き
  3. 墓や葬儀の準備 など

過去を振り返るとともに人生の「これから」を考え、現時点で抱えている不安なことを整理し、これからの生き方を考える機会となります。また、自分の死後に必要な情報を「エンディングノート」に記しておくことで、遺族が遺品整理をおこなう際の負担の軽減につながります。

生前整理を進める方法を5つのステップで解説

生前整理を進める方法を5つのステップで解説

生前整理を進める手順は、以下のとおりです。

  1. 物の整理・断捨離をおこなう
  2. 財産目録の作成をする
  3. デジタルデータを整理する
  4. 遺言書を作成する
  5. エンディングノートを作成する

ぜひ参考にしてみてください。

物の整理・断捨離をおこなう

生前整理を始めるのであれば、まずは物品の整理や断捨離から始めます。生前整理は通常の整理整頓と同様に、まずは残しておきたい物と不要な物に分別し、判断に迷ったときは保留にしておきましょう。

保留で残した物は身内も処分に迷う可能性が高いため、死後にどのように扱ってほしいか、エンディングノートに記しておきます。また、仕分けから半年間使わない物があれば捨てるなど、基準を設けるのもおすすめです。

整理整頓によって不要になった大きな不用品は粗大ごみとして処分したり、業者に回収を依頼したりしましょう。

財産目録の作成をする

所有している財産の棚卸しをして、リスト化します。現金や預貯金、有価証券や不動産などの財産をまとめると、自分の死後に家族が相続をスムーズに進められます。

財産目録はプラスだけでなく、住宅ローンなどのマイナス財産も記載するのを忘れないでください。

作成しておけば誰に何を残すかなどの財産分与の判断がしやすくなるだけでなく、遺族が相続税の目安を算出できます。財産の所在と金額を明記すると、親族の負担の軽減につながるでしょう。

デジタルデータを整理する

デジタルデータの整理も、近年では重要性を増しているので、スマートフォンやパソコン上にある必要なデータも整理しておきましょう。

データ整理だけでなく、デジタル端末に登録されているログイン情報なども、メモとして残しておきます。ネット銀行やネット証券だと試算を把握できないため、相続が滞ってしまいます。

実際に故人の残した機器に遺族がログインできないために、手を付けられないケースは少なくありません。遺族の手間を減らせるように、あらかじめ端末およびアカウントのログイン情報を書き出しておきましょう。

遺言書を作成する

遺言書の作成も忘れてはなりません。遺言書とは、財産を保有した本人が死後にどのように財産を分配するかを示した法的な書面です。遺言書を作成することで、相続人は指定されたとおりに遺産を分け合うことになるので、遺産相続をめぐるトラブルを回避できます。

遺言書には、以下の3種類があります。

  1. 公正証書遺言
    ⇒公証人が記述する。無効になりにくいので、相続トラブルに発展しづらい
  2. 自筆証書遺言
    ⇒自分で記述する。手軽に作成できる一方で、形式が明確に決められている
  3. 秘密証書遺言
    ⇒内容を秘密にしたまま認証してもらえる。誰にも遺言の存在を知られないが、無効になる可能性が高い

遺族間でトラブルになりにくいのが、無効になる可能性が低い公正証書遺言がおすすめです。

遺言書を作成する際は、決められた形式にしたがって正しく作成しなければ、無効になる恐れがあります。作成する前に、形式をしっかり押さえておきましょう。

エンディングノートを作成する

エンディングノートは財産目録や遺言書には書ききれない情報や希望、伝えたいことを書き出すためのノートです。書店や通販サイトなどで、記入式のノートが販売されています。

エンディングノートは親族が困らないように、本人しか知らない情報を共有するのが目的です。基礎情報や社会保険情報、墓や葬儀の希望などを記載しましょう。なお、法的な効力はありません。

自分の死後に遺族におこなってもらいたい遺品の処分や形見分けについて記入すれば、遺品整理をスムーズに進められるでしょう。自分の財産を書き出せば可視化しやすいため、遺産の整理にも役立ちます。

生前整理で残すべき物品一覧

生前整理でどの物品を残すべきか、迷う方は多いでしょう。最低でも、下記の物は残すようにしてください。

カテゴリ 具体的な物品
金融資産 預貯金、有価証券、保険証、クレジットカード、貸金庫 など
契約書 賃貸借契約書、土地の買付証明書 など
身分証明書 運転免許証・運転免許経歴証明書、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証 など
貴重品・動産 貴金属、書画・骨董、宝飾品、車 など
デジタル資産 インターネット上のサイトのアカウント、電子マネー、オンライン口座、暗証番号やパスワード

とくに契約書や身分証明書は処分してしまうと、遺族が遺品整理を進められなくなる恐れがあります。また、資産価値がありそうな物品を残しておくと、自分の死後に遺族の方が有効に活用してくれるでしょう。

生前整理をすることで得られるメリット3つ

生前整理をすることで得られるメリット3つ

生前整理をおこなうメリットは、以下の3つです。

  1. 遺族の負担を軽くできる
  2. 相続トラブルを未然に防げる
  3. 整理整頓ができ前向きになれる

遺族の為になるのはもちろん、本人もすっきりとした気持ちで今後の人生を過ごせます。ひとつずつ見ていきましょう。

遺族の負担を軽くできる

生前整理をおこなえば、自分が亡くなった後の遺族の負担を軽くできます。生前整理をせずに亡くなってしまうと、遺族が遺品整理の時にやるべきタスクが多くなり、まず故人の所有物を整理・処分する負担が生じます。

また、相続が発生すると遺族は膨大な数の相続手続きを、決められた期限で完了させなければなりません。生前整理をして自分が持っている財産や身の回りの物をできる限り整理しておけば、自分の死後に遺族の負担が軽くなるでしょう。

相続トラブルを未然に防げる

相続トラブルを事前に防げることも、生前整理をおこなうメリットのひとつです。相続における主なトラブルは、以下の2つです。

  1. 財産分配時で揉める
  2. 遺産分割協議の終了後に遺産が見つかり、やり直しとなる

遺書の中に遺産分割について記述しておけば、遺族は協議することなく進めてくれるでしょう。また、遺産目録があれば遺産を取りこぼす心配がないので、やり直しとなる事態を未然に防げます。

あらかじめ財産の詳細や関連書類の保管場所などを伝え、誰に相続してほしいのかを事前に明記しておけば、相続トラブルに発展せずに済むでしょう。

整理整頓ができ前向きになれる

事前に生前整理を行うと、自分自身の気持ちがすっきりすることがあります。財産や身の回りの整理をおこなえば不用品を処分でき、必要な物が明確になるからです。

とくに、相続人同士の関係性が複雑な場合は「自身の相続でトラブルに発展するのでは」と不安に感じる方も多いです。生前整理をして万が一のときの不安が軽くなると、整頓後の生活も前向きになれるでしょう。

生前整理を行う時のデメリット3つ

生前整理を行う時のデメリット3つ

生前整理はおこなうべきですが、一方で決していいことばかりではない点も理解すべきです。生前整理をおこなううえで起こることは、以下の3つです。

  1. 時間・労力がかかる
  2. 費用がかかる
  3. 思い入れのある物を見つけると作業が進まなくなる

ひとつずつ見ていきましょう。

時間・労力がかかる

生前整理は自分の所有物や資産を一つひとつ見直し、整理するので、数日は要すると考えてください。

これまでに手に入れた物品を仕分ける作業は、時間や労力がかかるものです。一度ですべてを整理しようとは考えずに、少しずつ計画的に進めることをおすすめします。

時間を要するのにともない、体力も必要となるため、早い時期から取り組むとよいでしょう。平均寿命が延びている昨今でも、50代から取り組む方も一定数います。

それどころか、20代や30代といった若い年代から始める方も見受けられます。可能であれば、思い立ったその日から始めるようにしましょう。

費用がかかる

生前整理には不用品の処分費用が発生します。とくに、大型の家具や家電などは専門の業者に依頼しないと処分できない場合もあります。

自治体によって不用品の処分方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。不用品回収業者や買取業者に依頼をすれば、一度に多くの粗大ごみを引き取ってくれます。

しかし、中にはぼったくりや不法投棄などをおこなう悪質な業者もいるため、業者選定は念入りに行うことが大切です。不用品回収業者や遺品整理業者に依頼する際は、最低でも自治体の「一般廃棄物収集運搬業」の許可を保有していることを、確認してください。

思い入れのある物を見つけると作業が進まなくなる

アルバムや写真などの思い入れのある物を見つけると、処分するか否か判断するのに時間がかかるものです。ときには、すべて必要と感じて捨てられなくなることもあるでしょう。

思い入れの深い物品の整理から始めると挫折することがあるため、抵抗なく処分できる物から始めるのがおすすめです。また、残すか思い悩んだときは親族の視点で俯瞰してみて、自分以外の人が片づけることを考えたときに、残すかどうか判断しましょう。

生前整理に取り組むうえで押さえるべきポイント4つ

生前整理に取り組むうえで押さえるべきポイント4つ

生前整理をするにあたって押さえるべきポイントは、以下の4つです。

  1. デジタルデータの整理を怠らない
  2. 節税対策をおこなう
  3. 時間をしっかり確保する
  4. 不用品が多い場合は業者に依頼する

生前整理は対象範囲が広いため、なかなか進まないという人も少なくありません。作業の見落としがないように事前にチェックを行い、時間をかけて進めていきましょう。

デジタルデータの整理を怠らない

スマートフォンやパソコン上には個人情報が詰まっています。とくに、以下の情報は入念に整理しましょう。

  1. ID
  2. パスワード
  3. メールアドレス
  4. 電話番号 など

持ち主が亡くなった後は「デジタル遺品」として端末に残り、そのまま破棄されてしまうトラブルが増えています。

また、持ち主以外が管理するのが難しいことも、デジタルデータの特徴です。必要なIDやパスワードはメモに残したり、不要なサービスを事前に解約したりして、遺族が困らないようにしておきましょう。

節税対策をおこなう

生前整理をおこなえば税負担を抑えながら、資産を相続できる点もメリットです。保有財産をあらためて把握しておけば、亡くなる前に節税策を取りながら相続ができます。

生前整理でとくに主流な節税策が、年間110万円までには贈与税がかからない生前贈与です。相続時に課税対象となる財産を減らした状態で相続の日を迎えられれば、相続税を抑えられます。

また、税理士に依頼すると自分の死後に円満な相続につながるように、対策を提案してくれます。多額の財産を保有している人ほど節税効果が期待できるので、税理士に相談してみてください。

時間をしっかり確保する

自分の財産や物品の整理は数時間程度では終わらないため、生前整理をおこなうためには時間の確保が必要です。生前整理の着手から終了までに、数ヵ月かかるケースもあるくらいです。

まとまった時間を確保できない場合は、業者に依頼するのもひとつの手です。相談だけでも承っており、不用品の買取りや片付けなどのサポートをおこなってくれます。

自分のペースで進めたい方は、焦らず判断できるように充分な時間を確保してから始めましょう。

不用品が多い場合は業者に依頼する

不用品が多いと処分するのに労力がかかりますが、不用品回収業者であれば大量の物品を最小限の手間で回収してもらえます。業者を選ぶときは、自治体の許可を保有していることを確認しておきましょう。

さらに、生前整理の実績があることもチェックすべきポイントのひとつです。依頼をする際は複数社から見積もりを取り、比較してみてください。

悪質な業者に依頼してしまうと追加料金を取られたり、不法投棄されたりなどのトラブルに見舞われる恐れがあります。

生前整理の方法について まとめ

生前整理の方法について まとめ

生前整理は時間や体力があるうちに、財産や身の回りの物を整理する作業のことで、終活の一部です。生前整理は以下5つの手順に沿って進めます。

  1. 物の整理・断捨離をおこなう
  2. 財産目録を作成する
  3. デジタルデータを整理する
  4. 遺言書を作成する
  5. エンディングノートを作成する

生前整理をおこなえば遺族の負担が減るだけでなく、これからの人生をすっきりした状態で自分らしく過ごせるようになります。

生前整理の進め方に悩んでいる方は、ぜひ「遺品整理みらいへ」にご相談ください。不用品の買取りや片付けはもちろん、相談しづらい内容でもスタッフが親身に対応いたします。

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