応募人数が年間5名から200名へ 広島の産業廃棄物処理業者タイヨーが採用活動で取り組んだこと

日本全国で深刻な人材不足が続いています。

高齢化に伴い今後さらに加速する見通しであり、私たち産業廃棄物処理業者にとっても死活問題。

「とにかく人を雇いたいが、どうしたらいいんだ!」

そんなお悩みを持つ同業者様に向け、にわかには信じ難いであろう報告をさせていただきます。

2016年に年間の応募人数5名だった弊社では、複数の取組を実行した結果、2017年以降は毎年200名ほどの採用希望者に恵まれるようになりました。

いったい何をしたら、そんなことが可能になったのか?

字数の許す限り、ご説明申し上げます。

公式サイトのイメージ画像は主に弊社内で撮影しました

◆1千万円以上かけてわずか5名だった2016年

前述の通り、2016年の採用希望者はわずか5名でした。

この年は、社長の代替わりに伴う離職者が急増したため、一刻も早く人材を確保せねばならない状況。そこで1千万円以上かけて各種求人媒体に広告を出したのですが、その結果が5名ですから目の前が真っ暗になりました。

人手不足のせいで日常業務が破綻するのでは……?そう考えては心臓が締め付けられるような日々だったのです。

【2016年の状況まとめ】

・代替わりに伴い離職者が急増

・年間1千万円の採用広告費をかけても人が集まらず

・中途採用の人材確保が一層困難に

◆外部コンサルと協力して200名に急増した2017年

もはや自社だけではどうにもならない――。

そう判断した弊社では、外部のコンサルティング会社に協力を求め、次のような採用戦略に取り掛かります。

・応募者の興味を引くサイトの構築

・IndeedやGoogleなどWEB媒体による安価な広告戦略

・365日体制で受付可能なコールセンターの設置

かくして数ヶ月間かけて準備を整え、実際に採用活動をスタートさせた結果、驚くことが起きました。2ヶ月目で月間20人の応募があり、半年後には月間30人を突破したのです。

弊社の戦略は、一言でまとめれば「WEBを上手に使う」ことに尽きますが、実際に運用するとなるとネットだけには終わらず、社内全般での連携が必要になるため、担当者には胃に穴が空く重圧がのしかかります。

WEB戦略など、我々にとって未知の世界。今までの求人広告ではダメなのか――社内からはそんな声も聞かれ、担当者は気が気ではなかったのです。

では、具体的に、どんなサイトにしたら年間200人もの応募が来るようになるのか?

トップページ(→link)からご覧いただければ幸いです。

ちらも弊社内で撮影のイメージ画像です(新設の休憩室や会議室も映っています)

【2017年の状況まとめ】

・外部コンサルと協力して採用活動をリニューアル
・Indeedやgoogleなど安価なWEB広告に絞る

・365日体制のコールセンターを運用

・応募人数が安定してきたので採用を20~40代に限定

・収集ドライバーの普通免許で採用スタート

・中型と準中型免許の取得補助を開始

・本格的な家族寮&独身寮の提供

◆女性採用のため施設内に保育園 2018年

女性従業員を増やそう。それも事務職だけでなく、現場で全力で働けるスタッフを募集したい。

2018年の目標をそう立てたとき、やはり疑問視する声は社内外から聞こえました。

「男でも体力的にキツいのに、何を夢みたいなこと語ってんだ?」

産業廃棄物処理業という職種を考えれば、当然の指摘かもしれません。しかし、弊社には男性スタッフと共に働く女性もいましたし、さらには新たに挑戦したいことがありました。

保育園です。

働きたくても子供を預ける場所がないから働けない女性が多くいる――このころ日本中で保育園の待機児童が問題となっており、だからこそチャンスだと発想を逆転させたのです。

「会社の敷地内でお子さんを預かることができれば、思う存分、働ける女性もいるはず」

結論から申し上げますと、これが大当たりなだけでなく、思わぬ副次効果をもたらしました。2020年以降、各種メディアや報道機関からの取材依頼が急増したのです。

2018年に開園した「たいようすくすく保育園」オープニングセレモニーです

【2018年の状況まとめ】

・保育園を4月1日に開園
・社員を公平に評価する査定制度を制定(給与アップへの道標を明確に)

・採用動画をYoutubeで初公開

・休憩室の全面改装に着手

・「ありがとうカード」「かっこいいカード」の運用

・リーダー制度と社員教育の改革

・社員の成長を可視化するチャート評価を導入

◆休憩室の全面改装~応募人数は安定化 2019年

ここで弊社への応募人数の変遷をまとめておきたいと思います。

以下の表をご覧ください。

2017年から2024年までの年度別応募者数の推移

2016年に5名だったのが、翌2017年の220名を皮切りに、以降80~260名で推移しています。2021年は新型コロナの影響で80名と大幅に減少しましたが、それを除けば概ね200名規模の応募者に恵まれてきました。

2017年にリニューアルした弊社の採用活動も3年目の2019年にはいよいよ安定化。

ではこの年は実際に何かしたのか?

というと、サイトやWEB広告を中心とした基本路線は変えず、併せてコンテンツ面での充実に取り組んでいます。

具体的にはサイト内記事のSEO(google検索対策)を進め、最大で月間3万PV以上を獲得するに至りました。

また、若い人たちが見やすいように、会社説明会向けのショート動画制作にも取り組みました。

社内環境としては休憩室の全面改装が4月に完了し、男女別の清潔な空間が完成。採用時の印象アップに繋がったと思われます。

この年は、ユニフォームの社内洗濯も始めたのですが、その半年後にはユニフォームのデザインそのもののリニューアルも実施しました。

実際に着用する、現場の若いスタッフの意見を取り入れたデザインで、幸いなことに社外からも好意的な評価をいただいております。

社内スタッフによる新ユニフォームでのイメージ撮影

【2019年の状況まとめ】

・応募人数が3年連続で200名と安定化
・公式サイト内でSEO対策記事の作成

・会社説明会向けのショート動画

・休憩室の全面改装が完了(男女別の清潔な空間)

・ユニフォームの洗濯

・ユニフォームのデザインリニューアル

◆新型コロナウィルスの影響 2020年~2021年

今なお記憶に新しい新型コロナウィルスが猛威をふるった2020年~2021年。

採用活動の面から見ますと、世間ではオンライン面接が急増しましたが、弊社では実施いたしませんでした。

実際に会って話をする――その点を重んじたのです。

2020年は応募人数は215名を記録し、さらには7名の新卒採用(応募は111名)もあり、コロナ禍にあっても順調かと思われるかもしれません。

その反動は2021年にきます。

一向に止む気配のないコロナ禍は翌2021年も続き、この年は採用活動のリニューアル以来、最も少ない80名となりました。

弊社の主力顧客である飲食店の倒産が相次ぎ、売上減少の懸念があったのです。

そこで採用広告の出稿を取りやめた結果、応募者が減りましたが、一方で、個人向けの片付けサービスが急増し、手が回らない状況に陥ってしまいます。

コロナ禍による混乱はいつまで続くのか。

経営陣としては頭を抱えるしかない状況。

しかし、この苦境でもめげなかったのが、他ならぬ女性スタッフでした。

「READY SUN FLOWER」という女性たちの社内改善チームが発足し、社員全体から意見を吸収するシステムが構築されたのです。

働きやすい職場環境をどう作るか――。

女性スタッフが主導して

・入社対応

・意見箱の設置

・車両のカラーリング

・ユニフォームのさらなるリニューアル

など、様々な取組が実現化しました。

その好影響でしょうか。中途採用の応募者は80名に減少していますが、新卒の応募は354名もの方に来て頂き、結果、7名が入社しています。

正直、この2020~2021年にかけては、100点満点の採用活動とは言えません。

しかし課題を洗い直すことができ、前向きな失敗だと捉えられると自負しております。

【2020年~2021年の状況まとめ】

・新型コロナウィルスによる混乱
・売上減少への懸念から採用活動を縮小

・個人の片付けサービスが急増するも対応しきれず

・女性スタッフによる社内改善チーム「READY SUN FLOWER」の発足と取組

◆新たなステージへ向けて 2022年~2024年

あらためて振り返ってみると、長いようであっという間の7年間。

公式サイトだけでなくYoutubeやSNSなどにも力を入れた結果、年齢層が若くなり、社内全体に若々しい息吹が芽生えました。

2022年以降も採用活動の基本路線は変えず、社内環境の改善に注力しながら、サステナビリティレポートの発刊も手掛けるようになり、200名規模の応募者もキープしています。

こうした日々の積み重ねによって、一番変わったのは周囲の目かもしれません。

女性スタッフが産業廃棄物処理業の現場で働くことが珍しいと思われているせいか。様々なメディアで取り上げられるようになったのです。

以前から広島圏内の新聞社さんなどには取材で来社していただいてましたが、2023年5月に雑誌系メディアの「日刊SPA」に取り上げられると瞬く間にYahooニュースへと拡散し、その後、東京キー局のテレビ番組などでも特集をしていただきました。

2022年5月3日、Yahooニュースへの掲載でバズりました

メディアへの露出は、企業の認知度を高め、応募希望者の背中を押してくれる、またとない機会です。

しかし、狙ってできるようなものでもなく、弊社としてはコツコツと毎日積み重ねてきただけ……なんて申し上げるとカッコつけてるようにも思わるかもしれませんが、本当にそうなのです。

何事もやってみなければわからない。

しかし挑戦をやりっ放しではなく、後で検証もしてみる。

いわゆるトライ・アンド・エラーでしか前に進めないのではないでしょうか。

【2022年~2024年の状況まとめ】

・コロナ明けによる新たな環境への対応

・個人の片付け需要は続伸

・採用活動は基本路線を踏襲

・広報チームの発足

・全国メディアへの露出がグッと増える

◆まとめ

女性だけでなく男性も気持ちよく働くためにはどうすべきか。

応募者が途切れることない職場作りを構築するためには何をしたか?

以下にまとめます。

・休憩室を男女別にリフォーム

・ユニフォームの刷新

・女性の職場環境を考えるチーム「ReadySunFlower」の結成

・社員のアイデアを常時募る「意見箱」

・誕生日に食事券

・メディアへの出演(大手各紙やWEBメディア、テレビ番組など)

・社員同士で称え合う「かっこいいカード&ありがとうカード」の設置

・収集運搬車両のAT化

他にも細かく挙げればキリがなく、ここまでとさせていただきます。

メディアへの露出がキッカケとなり、弊社には全国から「見学させてほしい」という声が届くようになり、今夏も全国から10社以上の企業様にご訪問いただきました。

本記事をご覧になり、弊社の採用活度についてご興味をお持ちの方はご一報いただければ。

連絡先は電話(082-824-0110)かメール(tanaka@taiyo-net.co.jp)にて、広報の田中・秦(はた)までよろしくお願いします。